カラマティアノス
[ Kalamatianos ]


 カラマティアノスとは、「カラマタ地方の踊り」の意味です。
 シルトスと同類の踊りで、スタイル、ステップはほぼ共通です。ただし、シルトスは2拍子系で、カラマティアノスは7拍子です。加えて、シルトスは床から足を離さず滑るようなステップで踊り、カラマティアノスは弾むように躍動的に踊ります。
 リーダーは、メンバーを引き連れて踊るとともに、様々なヴァリェーションを繰り出します。これは、ギリシャにおいては、教会等の広場で踊り始められ、パワーが高まったら広場を離れて村中を踊りまわり、メンバーのパワーが弱くならない様にリーダーがメンバーに活を与えるためにリーダー・ヴァリェーションが行われたことによります。村では、リーダーは激しいリープ、スクワット、ジャンプ、ターン、スラップなどを、踊りの進行中演じ続けます。そしてリーダーが疲れたならば、リーダーはリーダーの証であるハンカチーフを左の人に渡し自分はチェーンの一番後ろに付きます。新しいリーダーは、力強くリーダーの役割を演じ、疲れたらまた次の人へとリーダーの座を譲ります。こうして次々とリーダーを変えながら踊りのパワーを持続して、村中を巡って元の広場へと戻ります。
 つまり、ギリシャにおいてカラマティアノスは、本来は宗教的儀式が土台にあります。
 また、ハンカチーフを渡して主役が変わっていく方法は、バトン・リレーやオリンピックのトーチに影響を与えています。

 国・地方 ギリシャ 
ナショナル・ダンスとしてギリシャ全土で踊られている。
 タ イ プ チェーン・ダンス
 音   楽 7/8 拍子 
リズム=スロー・クイック・クイック (3+2+2) = ( 1 2 3 )
 隊   形 オープン・サークル。右端にリーダーが立ちハンカチーフを持つ。
踊りが盛り上がってきたら、チェーン・フォーメーションに移行する。
 ポジション W-ポジション
 ステップ スロー・クイック・クイックというリズムに合わせ、3歩ずつステップする。スローの時は大きめにステップし、クイックの時は小さめにステップする。
カラマティアノスの特徴の一つは、各ステップ毎に身体の向きを変えることです。


  小 節  Basic
4小節12歩のステップで構成された踊りで、前半の2小節6歩でLODに進み、後半の2小節は、右と左にバランスを行う。
Basic にも色々と踊り方があるので、そのグループで Basic を定めてから踊る。

 1〜 逆LODを向き、軽く左足でホップした後、右足を後ろ(LOD)に大きめにステップ (ct.1)
左足を後ろ(LOD)に小さめにステップ (ct.2)
LODを向き、右足を前(LOD)に小さめにステップ (ct.3)
 2〜 軽く右足でホップした後、左足を前(LOD)に大きめにステップ (ct.1)
右足を前(LOD)に小さめにステップ (ct.2)
左足を前(LOD)に小さめにステップ (ct.3)
 3〜 円内を向き、軽く左足でホップした後、右足を右横にステップ (ct.1)
左足を右足の前にステップ (ct.2)
右足にステップ・バック (ct.3)
 4〜 円内向きのまま、軽く右足でホップした後、左足を左横にステップ (ct.1)
右足を左足の後ろにステップ (ct.2)
左足にステップ・バック (ct.3)

 Basic-2 前半の違い
 1〜 Basic の1〜を行う。
 2〜 Basic の ct.1-3、を行う (ct.1)
逆LODを向き、右足を後ろ(LOD)にステップ (ct.2)
左足を後ろ(LOD)にステップ (ct.3)
 3〜4 Basic の3〜4を行う。

 Basic-3 前半の違い
 1〜2 Basic または、Basic-2 を身体の向きをあまり変えず、常に円内向きで行う。
 3〜4 Basic の3〜4を行う。

 Basic-4 後半の違い トー・ポイント
 1〜2 Basic の1〜2を行う。
 3〜 円内を向き、左足で軽くホップし、右足を右横にステップ (ct.1)
左足を左足の前にトー・ポイント (ct.2)
ホールド (ct.3)
 4〜 小節3〜を左足より逆に行う。

 Basic-5 後半の違い 右前・左前にパデバー
 1〜3 Basic の1〜3を行う。
 4〜 円内を向き、右足で軽くホップし、左足を左横にステップ (ct.1)
右足を左足の前にステップ (ct.2)
左足にステップ・バック (ct.3)

 Basic-6 後半の違い 右後・左後にパデバー
 1〜2 Basic の1〜2を行う。
 3〜 円内を向き、左足で軽くホップし、右足を右横にステップ (ct.1)
左足を右足の後ろにステップ (ct.2)
右足にステップ・バック (ct.3)
 4〜 小節3〜を左足より逆に行う。


  小 節  Variation-1 ターン
 1〜 Basic の1〜を行う。
 2〜 左足からの3つのステップで右回りに一回転しながら、LODに進む。
 3〜4 Basic の3〜4を行う。

  小 節  Variation-2 ターン-2
 1〜 右足からの3つのステップで右回りに一回転しながら、LODに進む。
 2〜4 Basic の2〜4を行う。

  小 節  Variation-3 ダブル・ターン
 1〜 右足からの3つのステップで右回りに一回転しながら、LODに進む。
 2〜 左足からの3つのステップで右回りに一回転しながら、LODに進む。
 3〜4 Basic の3〜4を行う。

  小 節  Variation-4 チェーン
 1〜2 LODを向き、Vポジションになり、右足より6歩(ロング・ショート・ショート×2)でLODに前進する。
 3〜 LOD向きのまま、右足を前に大きめにステップ (ct.1)
左足を前に小さくステップ (ct.2)
右足にステップ・バック (ct.3)
 4〜 LOD向きのまま、左足を後に大きめにステップ (ct.1)
右足を後に小さくステップ (ct.2)
左足にステップ・バック (ct.3)
 5〜 小節1〜4を続ける。
 *以上のステップを使い、会場内をリーダーがメンバーを引き連れる。

  小 節  Variation-5 チェーン-2
 1〜2 Variation-4 の小節1〜2を行う。
 3〜4 続けてVariation-4 の小節1〜2を行う。
 5〜 小節1〜4を続ける。
 *以上のステップを使い、会場内をリーダーがメンバーを引き連れる。


  小 節  Leader's variation ターン
Variation-1 、2 、3 のターンをリーダーのみで行う。

  小 節  Leader's variation スクワット
 1〜 LODを向き、両足でしゃがみこむ (ct.1)
右足にリープして立ちあがり、LODに前進する (ct.2)
さらに左足リープし、LODに前進する (ct.3)
 2〜 小節1〜をくりかえす。

  小 節  Leader's variation 後半のターン右回り
 1〜2 Basic の1〜2を行う。
 3〜4 リーダーは連手を離し、右足より右回りに6歩(ロング・ショート・ショート×2)で一回転し、再び連手する。

  小 節  Leader's variation 後半のターン左回り
 1〜3 Basic の1〜3を行う。
 4〜 リーダーはサブ・リーダーとの連手をやや高く上げ、左足より左回りに3歩(ロング・ショート・ショート)で一回転し、連手の下をくぐる。

  小 節  Leader's variation スラップ
 1〜3 Basic の1〜3をリープ気味に行う。
 4〜 左足を左横にリープし、右足を左足に引き寄せる (ct.1)
右足を右横にリープし、左足を膝を伸ばして高く上げ、右手で左足のくるぶしを叩く (ct.2)
左足を右足の前にクロスしてステップ (ct.3)

 Note

○ヴァリェーション、リーダー・ヴァリェーションは他にも多数あります。
○19世紀頃、この踊りは、シルトス・オ・ペロポニシオス [Syrtos O Peloponisios] と呼ばれていましたが、この踊りが踊られていたペロポネソス半島南部のカラマタ市の名をとり、カラマティアノスと呼ばれるようになりました。
○カラマティアノスは、シルトスの中ではもっともよく知られています。その変種も多く、各地方にみられます(マケドニアのイェラキナなど)。
○踊りの一部にカラマティアノスを組みこんだものもあります。
 例)カラグウナ、イ・トラタ など
○他の踊りとメドレーで踊られるものもあります。
 例)チャミコス+カラマティアノス、シルトス+カラマティアノス など
○カラマティアノスは、踊りの名称ですので、曲の名称は別にあります。ただし、カラマティアノスという曲名のものもあります。カラマティアノスで使われる音楽の中で有名な曲に、イェラキナ、エナ・サヴァトゥ・ヴラディ、サミオティッサ、マンティリ・カラマティアノ、ミロ・モウ・コッキノーなどがあります。

JoJon